これまでに行動者フォーカスの動詞として「mag動詞」と「um動詞」を学習しましたが、今回は行動者フォーカスの動詞「mang動詞」について学習しましょう。
mang動詞は主に次のことを表す場合に使われる動詞です。
- 習慣的な行為
- 複数の対象を伴う行為
- 色などの一時的な変化
目次
mang動詞の活用パターン
mang動詞の活用パターンは大きく分けて4通りです。
パターン | ||||
①語根が子音で始まり、その子音がp,bのいずれか | ②語根が子音で始まり、その子音がt,sのいずれか | ③語根が子音で始まり、その子音がd,lのいずれか | ④その他の動詞 | |
語根 | bili | tigas | ligaw | alok |
不定相 | mamil | manigas | manligaw | mang-alok |
完了相 | namili | nanigas | nanligaw | nang-alok |
継続相 | namimili | naninigas | nanliligaw | nang-aalok |
未然相 | mamimil | maninigas | manliligaw | mang-aalok |
多いですね・・・しかも、「mang動詞」なのに「ng」がなかったりするので、結構ややこしいかもしれません。
では、詳しく解説していきます。
1. 語根が子音で始まり、その子音がp,bのいずれかの場合
「pasyal」や「bili」のように1文字目が子音で、かつpかbのいずれかの場合、次のようなルールに沿って活用します。
- 不定相:「ma」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をmに変換)
- 完了相:「na」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をmに変換)
- 継続相:「na」+ 「不定相の第2音節」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をmに変換)
- 未然相:「ma」+ 「不定相の第2音節」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をmに変換)
はい、かな〜りややこしいですよね。
ということで、「bili」例に解説します。
まず、「bili」の不定相ですが、「ma」+ 語根「bili」なので、「mabili」となりますが、語根の先頭文字をmに変換するので、「mamili」となります。
次に、完了相ですが、「na」+語根「bili」なので、「nabili」となりますが、語根の先頭文字をnに変換するので、「namili」となります。
ここまでは簡単だと思います。
では、次の継続相ですが、「na」+ 不定詞の第2音節、つまり「ma ・mi・li」の第2音節なので、「mi」になります。
そして、これらと語根(ただし、先頭文字をnに変換したもの)を繋げるので「na」+「mi」+「mili」で「namimili」となります。
同様にして未然相も作ると、「mamimili」となります。
はい、ルールがわかってもめちゃくちゃややこしいですね。特に継続相と未然相は。
なので、始めのうちは覚えちゃってください。
ルールを覚えても、会話では瞬間的に頭の中で変換できないので、覚えてしまうのが一番効率がいいです。
なぜ、このようになるかですが、「mang」の「ng」が子音の「b」、「p」と同化することで「m」になるため、「mang + p/b」=「mam」となります。
2. 語根が子音で始まり、その子音がt,sのいずれかの場合
「tahi」や「takot」のように1文字目が子音で、かつtかsのいずれかの場合、次のようなルールに沿って活用します。
- 不定相:「ma」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をnに変換)
- 完了相:「na」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をnに変換)
- 継続相:「na」+ 「不定相の第2音節」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をnに変換)
- 未然相:「ma」+ 「不定相の第2音節」+ 語根(ただし、語根の先頭文字をnに変換)
さっきの子音がp、bの場合とほとんど同じです。
異なる点は、語根の先頭文字が「n」に変わる点だけです。
「mang」の「ng」が子音の「t」、「s」と同化することで「n」になるため、「mang + t/s」=「man」となります。
3. 語根が子音で始まり、その子音がd,lのいずれかの場合
「dukot」や「ligaw」のように語根の子音がdかlのいずれかの場合は、、次のようなルールになります。
- 不定相:「man」+ 語根
- 完了相:「nan」+ 語根
- 継続相:「nan」+ 語根の先頭2文字 + 語根
- 未然相:「man」+ 語根の先頭2文字 + 語根
なので、「ligaw」を例に挙げると、不定相「manligaw」、完了相は「nanligaw」、継続相は「nanliligaw」、未然相は「manliligaw」となります。
4. その他の動詞
その他の動詞は同化が起こらないので、次ようなルールに沿って活用します。
- 不定相:「mang」を語根の前につける
- 完了相:「nang」を語根の前につける
- 継続相:「nang」+ 「語根の最初の2文字(母音から始まる場合は1文字)」を語根の前につける
- 未然相:「mang」+ 「語根の最初の2文字(母音から始まる場合は1文字)」を語根の文字つける
パターンとしてはけっこう分かりやすいですね。
ただ、実際は上記のパターンに当てはまらない例外もありますが、今回は割愛します。