今回はタガログ語で文を作る時に必要となる要素「ang形」について学習しましょう
- ang形を理解する
目次
ANG形って何?
タガログ語には標識辞(マーカー)というものがあって、その標識辞によりその単語(部分)が文の中でどんな役割を持っているのか把握することができます。
標識辞は大きく分けて3つに分類され、それぞれ「ANG形」、「NG形」、「SA形」と呼ばれています。
そして、今回のトピックである「ANG形」ですが、これは文の主語を表す機能があります。
例えば、「アドボは美味しい。」とタガログ語でいうと、次のようになります。
アドボは美味しい。
Masarap ang adobo.
マサラップ アン アドボ
上の例文を見ると「ang adobo」が主語を表していることになります。
このようにタガログ語では主語が何なのかをはっきりすために「ANG形」の標識辞を使います。
「ちょっとわかりにくい」と感じる人は英語でいう”a”や”the”みたいなもの捉えておけば良いと思います。
- タガログ語では標識辞(マーカー)は必須。
- 標識辞(マーカー)には「ANG形」、「NG形」、「SA形」の3種類ある。
- 「ANG形」は文の主語を表す。
それでは、もう少し「ANG形」について見ていきましょう。
ANG形の対応表
先ほどの例文では「ang adobo」のように「ang」を使って表現していましたが、実は主語が人名なのか、普通の物なのか、条件により使われる単語が変わります。
その対応表は次のようになっています。
人称 | 単数 or 複数 | ANG形 | |
①人名 | – | 単数 | si + 人名 |
複数 | sina + 人名 | ||
②人名以外 | – | 単数 | ang + 名詞 |
複数 | ang mga + 名詞 | ||
③人称代名詞 | 1人称(わたし) | 単数 | ako |
複数 | tayo kami |
||
2人称(あなた) | 単数 | ka | |
複数 | kayo | ||
3人称 | 単数 | siya | |
複数 | sila | ||
④指示代名詞 | 近称(これ) | 単数 | ito |
複数 | ang mga ito | ||
中称(それ) | 単数 | iyan | |
複数 | ang mga iyan | ||
遠称(あれ) | 単数 | iyon | |
複数 | ang mga iyon |
表を見て「かなりややこしい・・・」と感じた人もいるかもしれませんが、そこまで難しくないので安心してください。
では、上の表についてもう少し詳しく見ていきましょう。
1. 「人名」が主語になる場合
人称 | 単数 or 複数 | ANG形 | |
①人名 | – | 単数 | si + 人名 |
複数 | sina + 人名 |
「人名」が主語になる場合、つまり「田中さんは〜」、「鈴木さんは〜」などと言いたい場合は「si」や「sina」を使います。
siは単数つまり1人を指しますが、「田中さんたちは〜」と複数の人物を主語にしたい時は「sina」を使います。
(1)田中さんは学生です
Estudyante si Tanaka
エストジャンテ スィ タナカ
(2)田中さんたちは学生です。
Estudyante sina Tanaka
エストジャンテ スィーナ タナカ
どうですか。難しいですか。
人名の時は「si」か「sina」を使うとだけ覚えておけば、そんなに難しくはないですね。
- 人名が主語の時は「si」か「sina」を使う
- siは単数形、sinaは複数形
2. 「人名以外」が主語になる場合
人称 | 単数 or 複数 | ANG形 | |
②人名以外 | – | 単数 | ang + 名詞 |
複数 | ang mga + 名詞 |
人名以外、つまり食べ物や飲み物などの普通名詞が主語になる場合は「ang」と「ang mga」を使います。
最初の例文「アドボは美味しいです。」で「ang」を使っていましたね。
これはアドボが普通名詞だからです。
複数の物を主語にする場合は「ang mga」を使います。
(1)その子供は元気だ。
Mabuti ang bata.
マブーティ アン バータ
(2)子供たちは元気だ。
Mabuti ang mga bata.
マブーティ アン マガ バータ
これもそこまで難しい内容ではないですね。
先ほどの人名の「si」が「ang」に変わっただけのことです。
- 普通名詞が主語の時は「ang」か「ang mga」を使う
- angは単数形、ang mgaは複数形
3. 「人称代名詞」が主語になる場合
人称 | 単数 or 複数 | ANG形 | |
③人称代名詞 | 1人称(わたし) | 単数 | ako |
複数 | tayo kami |
||
2人称(あなた) | 単数 | ka | |
複数 | kayo | ||
3人称 | 単数 | siya | |
複数 | sila |
「人称代名詞」とは「私」や「あなた」、「彼」、「彼女」などを指します。
これらが主語になる場合はとても簡単で、「ang」や「si」といった標識辞は不要です。
(1)私は学生です。
Estudyante ako
エストジャンテ アコ
(2)彼女は看護婦です。
Nars siya.
ナース シャ
- 人称代名詞が主語の時は標識辞は不要。
tayoとkamiの違い
tayoとkamiはどちらも「私たち」という意味を表しますが、tayoは聞き手を含み、kamiは聞き手を含まないという違いがあります。
kayoの他の意味
kayoは「あなたたち」という意味の他に「あなた」を丁寧に言う時にも使います。
4. 「指示代名詞」が主語になる場合
人称 | 単数 or 複数 | ANG形 | |
④指示代名詞 | 近称(これ) | 単数 | ito |
複数 | ang mga ito | ||
中称(それ) | 単数 | iyan | |
複数 | ang mga iyan | ||
遠称(あれ) | 単数 | iyon | |
複数 | ang mga iyon |
「指示代名詞」とは「これ」や「それ」、「あれ」のことを指します。
これらが主語になる場合は標識辞は不要ですが、複数形になる場合だけ「ang mga」が必要になります。
(1)これは高いです。
Mahal ito.
マハル イト
(2)これらは安い。
Mura ang mga ito.
ムーラ アン マガ イト
- 指示代名詞が主語の時、単数形なら標識辞は不要。複数形なら「ang mga」を使う。
まとめ
今回はタガログ語で文を構成する際に重要な役割を担う標識辞と、その代表である「ANG形」について紹介しました。
1つ1つ見ていくと、そこまでややこしいものではないので、文を作ってみたり、作った文を声に出すなどしてしっかりと練習しましょう。
- 「ANG形」は文の主語を表す機能がある。
- 人名が主語の時は「si」か「sina」を使う。「si」は単数、「sina」は複数。
- 普通名詞が主語の時は「ang」か「ang mga」を使う。「ang」は単数、「ang mga」は複数
- 人称代名詞が主語の時は標識辞は不要。
- 指示代名詞が主語の時、単数形なら標識辞は不要、複数形なら「ang mga」を使う。