今回はタガログ語で文を作る時に必要となる要素「NG形」について学習しましょう
- NG形を理解する
目次
NG形って何?
以前、「ANG形の解説」でも紹介しましたが、タガログ語には標識辞(マーカー)というものがあり、「NG形」もその1つです。
標識辞ngを伴う普通名詞、標識辞niを伴う人名などを一括りにしてng形と呼びます。
ngの発音は「ング」ではなく、「ナン」と言います。
「ANG形」は文の主語を表す機能があったわけですが、「NG」形は大きく分けて以下の2つの機能があります。
- 所有:〜の
- 動作の対象:〜を
例えば、「それは田中さんの本です。」、「さっき、コーヒーを飲んだ」、こういった表現を使うときに「NG形」が使われます。
(1)それは田中さんの本です。
Libro ni Tanaka ito
リブロ ニ タナカ イト
(2)さっき、コーヒーを飲んだ。
Uminom ako ng kape.
ウミノム アコ ナン カペ
- 「NG形」は標識辞(マーカー)の1つ。
- 「NG形」は所有、動作の対象を表す。
それでは、もう少し「NG形」について見ていきましょう。
NG形の対応表
ANG形、SA形と同様に、NG形でも接続する単語が人名なのか、普通の物なのか、条件により形が変わります。
その対応表は次のようになっています。
人称 | 単数 or 複数 | NG形 | |
①人名 | – | 単数 | ni + 人名 |
複数 | nina + 人名 | ||
②人名以外 | – | 単数 | ng + 名詞 |
複数 | ng mga + 名詞 | ||
③人称代名詞 | 1人称(わたし) | 単数 | ko |
複数 | natin namin |
||
2人称(あなた) | 単数 | mo | |
複数 | ninyo | ||
3人称 | 単数 | niya | |
複数 | nila | ||
④指示代名詞 | 近称(これ) | 単数 | nito |
複数 | ng mga ito | ||
中称(それ) | 単数 | niyan | |
複数 | ng mga iyan | ||
遠称(あれ) | 単数 | niyon / noon | |
複数 | ng mga iyon |
では、上の表についてもう少し詳しく見ていきましょう。
1. 「人名」が来る場合
人称 | 単数 or 複数 | ANG形 | |
①人名 | – | 単数 | ni + 人名 |
複数 | nina + 人名 |
「人名」と接続する場合、つまり「これは田中さんのスマホです。」や「田中さんを呼びます」などと言いたい場合は「ni」や「nina」を使います。
niは単数つまり1人を指しますが、「田中さんたちを〜」と複数の人物の場合は「nina」を使います。
(1)これは田中さんのスマホです。
Cellphone ni Tanaka ito.
セルフォン ニ タナカ イト
(2)田中さんたちは私を呼びました。
Tinawagan ako nina Tanaka.
ティナワガン アコ ニーナ タナカ
人名と接続する時は「ni」か「nina」を使うとだけ覚えておけば、そんなに難しくはないですね。
- 人名が来る時は「ni」か「nina」を使う
- niは単数形、ninaは複数形
2. 「人名以外」が来る場合
人称 | 単数 or 複数 | ANG形 | |
②人名以外 | – | 単数 | ng + 名詞 |
複数 | ng mga + 名詞 |
人名以外、つまり「子供」や「水」、「ご飯」などの普通名詞と接続する場合は「ng」や「ng mga」を使います。
単数の物と接続する場合は「ng」を、複数の物と接続する場合は「ng mga」を使います。
(1)これはタガログ語の本だ。
Libro ng Tagalog ito.
リブロ ナン タガログ イト
(2)私は昨日、タガログ語の本を読んだ。
Bumasa ako ng libro ng Tagalog kahapon.
ブマサ アコ ナン リブロ ナン タガログ カハーポン
- 普通名詞が来る時は「ng」か「ng mga」を使う
- ngは単数形、ng mgaは複数形
3. 「人称代名詞」が主語になる場合
人称 | 単数 or 複数 | NG形 | |
③人称代名詞 | 1人称(わたし) | 単数 | ko |
複数 | natin namin |
||
2人称(あなた) | 単数 | mo | |
複数 | ninyo | ||
3人称 | 単数 | niya | |
複数 | nila |
人称代名詞の場合は、標識辞は不要です。
ですが、英語でも「私の」や「私に」という言葉を表すのに「my」や「me」のように単語が変わるように、タガログ語でも上の表のように変わるので注意してください。
残念ながら、これは覚えるしかないので、何度も声に出して練習しましょう。
(1)彼は私の友達だ。
Kaibigan ko siya.
カイビーガン コ シャ
(2)姉が私のケーキを食べた
Kumain ate ko ng cake ko.
クマーイン アテ コ ナン ケーク コ
- 人称代名詞が来る時は標識辞は不要。
4. 「指示代名詞」が主語になる場合
人称 | 単数 or 複数 | NG形 | |
④指示代名詞 | 近称(この) | 単数 | nito |
複数 | ng mga ito | ||
中称(その) | 単数 | niyan | |
複数 | ng mga iyan | ||
遠称(あの) | 単数 | niyon / noon | |
複数 | ng mga iyon |
指示代名詞と接続する場合、単数であればngは必要ありません。
そして意味ですが、「この」や「その」、「あの」といった意味になります。ですので、単語として覚えておくと良いでしょう。
複数の場合は「ng mga」を付けて言います。
- 指示代名詞が来る時は単数形の場合、標識辞は不要。複数形の場合「ng mga」を使う
まとめ
今回はタガログ語で文を構成する際に重要な役割を担う標識辞と、その代表である「NG形」について紹介しました。
1つ1つ見ていくと、そこまでややこしいものではないので、文を作ってみたり、作った文を声に出すなどしてしっかりと練習しましょう。
- 「NG形」は所有、動作の対象を表す機能がある。
- 人名が来る場合は「ni」か「nina」を使う。「ni」は単数、「nina」は複数。
- 普通名詞が来る場合は「ng」か「ng mga」を使う。「ng」は単数、「ng mga」は複数
- 人称代名詞が来る場合は標識辞は不要。
- 指示代名詞が来る場合、単数形なら標識辞は不要、複数形なら「ng mga」を使う。