今回はタガログ語で文を作る時に必要となる要素「SA形」について学習しましょう
- SA形を理解する
このページでは、ある程度タガログ語の単語を知っていることを前提として紹介していきます。
目次
SA形って何?
以前、「ANG形の解説」でも紹介しましたが、タガログ語には標識辞(マーカー)というものがあり、「SA形」もその1つです。
「ANG形」は文の主語を表す機能があったわけですが、「SA」形は大きく分けて以下の4つの機能があります。
- 所有:〜の
- 時:〜に
- 場所:〜で
- 方向:〜に、〜に対して
例えば、「彼のものです」、「イベントは日曜日にある」、「フィリピン大学で働いている」、「マカティに行きます」、こういった表現を使うときに「SA形」が使われます。
(1)それは彼のものです。
Sa kanya ito.
サ カニャ イト
(2)イベントは日曜日にある。
Sa Linggo ang event.
サ リンゴ アン イベント
(3)彼はフィリピン大学(UP)で働いています。
Nagtatrabaho siya sa UP.
ナグタットラバーホ シャ サ ユーピー
(4)マカティに行きます。
Pupunta ako sa Makati.
ププンタ アコ サ マカティ
SA形は使用範囲が広く少しややこしいかもしれませんが、日本の助詞のように文を構成する上で欠かせないものなので、しっかりと学習しておく必要があります。
- 「SA形」は標識辞(マーカー)の1つ。
- 「SA形」は所有、時、場所、方向を表す。
それでは、もう少し「SA形」について見ていきましょう。
SA形の対応表
先ほどの例文では「sa Makathi」や「sa UP」のように「sa」を使って表現していましたが、ANG形と同様に接続する単語が人名なのか、普通の物なのか、条件により形が変わります。
その対応表は次のようになっています。
人称 | 単数 or 複数 | SA形 | |
①人名 | – | 単数 | kay + 人名 |
複数 | kina + 人名 | ||
②人名以外 | – | 単数 | sa + 名詞 |
複数 | sa mga + 名詞 | ||
③人称代名詞 | 1人称(わたし) | 単数 | sa akin |
複数 | sa amin sa atin |
||
2人称(あなた) | 単数 | sa iyo | |
複数 | sa inoy | ||
3人称 | 単数 | sa kanya | |
複数 | sa kanila | ||
④指示代名詞 | 近称(ここ) | 単数 | dito(rito) |
複数 | sa mga dito | ||
中称(そこ) | 単数 | diyan(riyan) | |
複数 | sa mga iyan | ||
遠称(あそこ) | 単数 | doon(roon) | |
複数 | sa mga iyon |
では、上の表についてもう少し詳しく見ていきましょう。
1. 「人名」が来る場合
人称 | 単数 or 複数 | SA形 | |
①人名 | – | 単数 | kay + 人名 |
複数 | kina + 人名 |
「人名」と接続する場合、つまり「それは田中さんのです。」、「田中さんたちに〜」などと言いたい場合は「kay」や「kina」を使います。
kayは単数つまり1人を指しますが、「田中さんたちは〜」と複数の人物を指す場合は「kina」を使います。
(1)A:これ誰の?
B:田中さんのです。
A:Kanino ito? カニーノ イト
B:Kay Tanaka iyan. カイ タナカ イヤン
(2)マークさんはルビーさんたちに優しい。
Mabait si Mark kina Ruby.
マバイット スィ マーク キナ ルビー
どうですか。難しいですか。
人名の時は「kay」か「kina」を使うとだけ覚えておけば、そんなに難しくはないですね。
- 人名が来るときは「kay」か「kina」を使う
- kayは単数形、kinaは複数形
2. 「人名以外」が主語になる場合来る場合
人称 | 単数 or 複数 | SA形 | |
②人名以外 | – | 単数 | sa + 名詞 |
複数 | sa mga + 名詞 |
人名以外、つまり子供や建物などの普通名詞と接続する場合は「sa」と「sina」を使います。
「SA形とは?」で登場した例文でも「sa」を使っていましたね。
複数の物と接続する場合は「sa mga」を使います。
(1)私はBGCへ行った。
Pumunta ako sa BGC.
プムンタ アコ サ ビージーシー
(2)彼は子供たちに英語を教えた。
Nagturo siya ng Ingles sa mga bata
ナグトゥーロ シャ ナン イングレス サ マガ バータ
- 普通名詞が来る時は「sa」か「sa mga」を使う
- saは単数形、sa mgaは複数形
3. 「人称代名詞」が来る場合
人称 | 単数 or 複数 | SA形 | |
③人称代名詞 | 1人称(わたし) | 単数 | sa akin |
複数 | sa amin sa atin |
||
2人称(あなた) | 単数 | sa iyo | |
複数 | sa inoy | ||
3人称 | 単数 | sa kanya | |
複数 | sa kanila |
所有や方向を表す場合「私の」や「私に」という言葉になりますね。
タガログ語の場合、単数・複数に関わらず「sa」を付けて表現します。
ただし英語でも「my」や「me」のように単語が変わるように、タガログ語でも上の表のように単語が変わるので注意してください。
残念ながら、これは覚えるしかないので、何度も声に出して練習しましょう。
尚、「SA」が所有表現として使われる場合は省略することも可能です。
(1)A:これ誰の?
B:彼女のさんのです。
A:Kanino ito? カニーノ イト
B:(Sa) kanya iyan. サ カニャ イヤン
(2)彼は私たちだけに優しい。
Mabait siya sa amin lang.
マバイット シャ サ アーキン ラン
- 人称代名詞が来る時は単数・複数に関係なく「sa」を使う
- 所有表現の場合は「sa」を省略しても良い
4. 「指示代名詞」が来る場合
人称 | 単数 or 複数 | SA形 | |
④指示代名詞 | 近称(これ) | 単数 | dito(rito) |
複数 | sa mga dito | ||
中称(それ) | 単数 | diyan(riyan) | |
複数 | sa mga iyan | ||
遠称(あれ) | 単数 | doon(roon) | |
複数 | sa mga iyon |
指示代名詞と接続する場合、単数であればsaは必要ありません。
そして意味ですが、「ここ」や「そこ」、「あそこ」といった意味になります。ですので、単語として覚えておくと良いでしょう。
複数の場合は「sa mga」を付けて言います。
- 指示代名詞が来る時は単数形の場合、標識辞は不要。複数形の場合「sa mga」を使う
まとめ
今回はタガログ語で文を構成する際に重要な役割を担う標識辞と、その代表である「SA形」について紹介しました。
1つ1つ見ていくと、そこまでややこしいものではないので、文を作ってみたり、作った文を声に出すなどしてしっかりと練習しましょう。
- 「SA形」は所有、時、場所、方向を表す機能がある。
- 人名が来る場合は「kay」か「kina」を使う。「kay」は単数、「kina」は複数。
- 普通名詞が来る場合は「sa」か「sa mga」を使う。「sa」は単数、「sa mga」は複数
- 人称代名詞が来る場合は単数・複数どちらの場合も「sa」を使う。ただし所有表現の場合は省略可。
- 指示代名詞が来る場合、単数形なら標識辞は不要、複数形なら「sa mga」を使う。