「赤い花」や「フィリピン人の妻」のように日本語は前から後ろへ修飾するのが一般的ですが、タガログ語の場合はどうでしょうか。
実はタガログ語の場合修飾する語(修飾語)と修飾される語(被修飾語)の位置関係が決まっている場合と、そうでない場合があります。
ややこしいですよね・・・。
まぁ逆に言えば、柔軟性がある言語なのですが、基本のルールを理解しておかないと混乱してしまうこともあるでしょう。
そこで、このページではタガログ語の場合の修飾語と被修飾語の位置関係の基本ルールを紹介していきます。
目次
名詞が名詞を修飾する場合
「フィリピン人の妻」のように前の名詞が後ろの名詞に修飾する場合の語順は、実は決まりがありません。
そのため、日本語では「フィリピン人の妻」という語順でも、タガログ語の場合「妻 + フィリピン人」でも「フィリピン人 + 妻」でもOKです。
●フィリピン人の妻
Pilipinong asawa
asawang Pilipino
なので、話すときは自分の使いやすい方を使えばOKなのです。
Meron akong asawang Pilipino.
Meron akong Pilipinong asawa.
私にはフィリピン人の妻がいます。
ただし、「Appleの社員です」や「富士通の社員です」のように「会社名 + 社員です」という場合は、「empleyado ng 会社名」の語順しか使えません。
名詞が名詞を修飾するときの語順は基本的にどちらが先行してもOK
指示代名詞(ang形)が名詞を修飾する場合
「この本」や「その車」のようにang形の指示代名詞が名詞を修飾する場合の語順はどちらからでも可能です。
●この本
itong libro
librong ito
●その車
iyang kotse
kotseng iyan
ただし、 指示代名詞が後ろに来る場合は、以下の例文のようにangが必要なので注意しましょう。
Mahal itong libro.
Mahal ang librong ito.
この本は高いです。
指示代名詞が名詞を修飾するときの語順はどちらもでOK
形容詞が名詞を修飾する場合
では、「赤い花」や「高い山」のように形容詞が名詞を修飾するパターンはどうでしょうか。
実は、この場合も決まったルールはなく、語順は自由です。
●赤い靴
pulang sapatos
sapatos na pula
●高い山
bundok na mataas
mataas na bundok
例文も載せておきます。
Bumili akong pulang sapatos kahapon.
Bumili akong sapatos na pula kahapon.
昨日、赤い靴を買いました。
形容詞が名詞を修飾するときの語順はどちらもでOK
数詞が名詞を修飾する場合
続いて、「3年」や「2ヶ月」のように数字が名詞(年、ヶ月)を修飾する場合についてですが、この場合は、必ず「数詞 + 名詞」の語順になります。
日本語の場合と同じなので、覚えやすいですね。
●3年
tatlong taon
●2ヶ月
dalawang buwan
●1週間
isang linggo
Nag-aral akong tagalog ng isang taon.
タガログ語を1年勉強しました。
数詞が名詞を修飾するときの語順は必ず「数詞 + 名詞」となる
数詞 + 形容詞 + 名詞の場合
「1本の赤いバラ」や「2匹の可愛い子猫」のように「数詞 + 形容詞 + 名詞」の場合は、数詞が先行し、その後ろは「形容詞 → 名詞」でも「名詞 → 形容詞」でも大丈夫です。
●1本の赤いバラ
isang pulang rosas
isang rosas na pula
●2匹の可愛い子猫
dalawang kyut na kuting
dalawang kuting na kyut
なので、数詞が先行することだけ覚えておけばOKです。
Meron akong dalawang kyut na kuting sa bahay ko.
Meron akong dalawang kuting na kyut sa bahay ko.
私の家には2匹の可愛い子猫がいます。
日本語の「数詞 + 形容詞 + 名詞」をタガログ語で表現したい場合は数詞が先行し、後の順序は決まっていない
指示代名詞 + 形容詞 + 名詞の場合
「その黒い犬」や「この赤いカバン」のように「指示代名詞 + 形容詞 + 名詞」の場合は指示代名詞が先頭に来るパターンと、一番最後に来るパターンの2種類あります。
●その黒い犬
iyang itim na aso
itim na asong iyan
●この赤いカバン
itong pulang bag
pulang bag na ito
ここはかなりややこしいですが、「形容詞 + 名詞」はいつもセットで、あとは前か後ろに指示詞が来ると覚えるとわかりやすいと思います。
とはいえ、一度に覚えようとすると、混乱してしまうかもしれないので、始めのうちは使いやすい方を使うと良いでしょう。
日本語の「指示代名詞 + 形容詞 + 名詞」をタガログ語で表現したい場合は指示代名詞が文の最初に来るパターンと、最後に来るパターンの2種類ある。
指示代名詞 + 数詞 + 名詞の場合
「その3匹の犬」や「この2つのりんご」のように「指示代名詞 + 数詞 + 名詞」の場合も指示代名詞が先頭に来るパターンと、一番最後に来るパターンの2種類あります。
●その3匹の犬
iyang tatlong aso
tatlong asong iyan
●この2つのりんご
itong dalawng mansanas
dalawang mansanas na ito
こちらも少しかなりややこしいので、始めのうちは使いやすい方を使うと良いでしょう。
指示代名詞 + 数詞 + 形容詞 + 名詞の場合
「その3匹の黒い犬」や「この1本の赤いバラ」のように「指示代名詞 + 数詞 + 形容詞 + 名詞」の場合はどうでしょうか。
「指示代名詞 + 数詞 + 名詞」と「指示代名詞 + 形容詞 + 名詞」は先ほどやったので、今回の場合も2パターンあることは容易に想像できるでしょう。
なので、ポイントは数詞と形容詞の位置になりますが、この場合、必ず数詞が形容詞よりも前に来ます。
●その3匹の黒い犬
iyang tatlong itim na aso
tatlong itim na asong iyan
●この1本の赤いバラ
itong isang pulang rosas
isang pulang rosas na ito
ここまで来るとかなりややこしいですね。
さらにややこしいことに、最後に指示代名詞が来るパターンの句が主語になる場合は先頭にangが必要になります。
Maganda itong isang pulang rosas.
Madanda ang isang pulang rosas na ito.
この1本の赤いバラは綺麗です。
ng句と形容詞が名詞を修飾する場合
所有を表すng句と形容詞が名詞を修飾する場合は所有者が普通名詞か人称代名詞かによって語順が異なります。
「ng句って何?」、「ng句はもう忘れた」というあなたは以下の記事を読んで復習しましょう。
「私の本」や「田中さんのカバン」のように所有を表す時に使う文型でしたね。
1. 所有者が普通名詞の場合
「田中さんのお気に入りの音楽」や「田中さんの黒いカバン」のように、所有のng句と形容詞が名詞を修飾する場合、語順は次のようになります。
●田中さんのお気に入りの音楽
paboritong musika ni Tanaka
●田中さんの黒いカバン
itim na bag ni Tanaka
2. 所有者が人称名詞の場合
一方で、「彼のイケメンの彼氏」のように所有者に人称代名詞が来る場合は、次のような語順になります。
見てもらえればわかる通り、形容詞と名詞でng句を挟む形になります。
●彼のイケメンの彼氏
gwapo niyang boyfriend
boyfriend niyang gwapo
最後に
このページではタガログ語の場合の修飾語と被修飾語の位置関係の基本ルールを紹介していきます。
すごい難しいですよね・・・?
タガログ語は日本語のようにけっこう柔軟な言語で色々と入れ替えが可能な分、学習者にはわかりにくいと感じることが多いかもしれません。
しかし、今回の内容はタガログ語文法の基本なので、きちんと理解しておかないとこの先、ますますわからなくなっていきます。
なので、自分で実際に文を作ってみたり、声に出してみるなどして、たくさん練習してください。
フィリピン人のご友人や恋人がいらっしゃる方は、練習相手になってもらうといいでしょう。